緊張型頭痛
緊張型頭痛は後頭部を中心に頭の両側や首に痛みが出る状態です。「締められるような痛み」「頭が重く感じる」などの感覚があり、フワフワするようなめまいを伴うこともあります。脈打つような痛みや、動くと痛みがひどくなったり吐き気を伴ったりすることは少ないです。また片頭痛ほどではないですが、痛みを無視して頑張るとより症状が悪くなったり生活の質(QOL:Quaity Of ife、クオリティ・オブ・ライフ)が低下したりします。
女性の方が男性よりも約1.5倍、緊張型頭痛に悩む方が多いと指摘されています。遺伝も関与しているのではないかとも考えられていますが、どの遺伝子が関与しているのかは未だに分かっていません。
緊張型頭痛の原因
主な原因はストレスです。頭や首、肩、背中などの筋肉が緊張することで常に負担がかかる身体的ストレスだけでなく、精神的なストレスも発症・悪化の引き金になります。
また、目の酷使や噛み合わせなどが原因で起こることもあります。
筋肉のこわばり
長時間同じ姿勢を保つことから筋肉が緊張し続けると、血行が悪くなることもあります。筋肉に溜まった疲労物質によって神経が刺激されることで痛みが起こります。特にパソコンやスマホを長時間使用していると、首や腕を動かさずに下を向いている姿勢が保たれるので、頭や首、肩、背中といった筋肉が痛くなります。
また、姿勢が悪かったり重い物を持ったりする習慣があると、痛みが出やすくなります。
トリガーポイント
緊張型頭痛の原因の一つとしてトリガーポイントが挙げられます。トリガーポイントとは、痛みを感じやすくなった部分です。健康な状態でしたら痛みを感じない程度の軽い圧力でも痛みが誘発されていまいます。トリガーポイント以外の場所にも痛みが広がることがあります(関連痛)。
トリガーポイントがどこにできるかを特定することはできませんが、傾向として発生しやすい部位は存在しています。緊張型頭痛はトリガーポイントを刺激すると起こりやすくなるのではないかとも考えられています。
長引く緊張型頭痛によって片頭痛に似た症状を起こす方も
緊張型頭痛には、反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛という2つのタイプに分ける事ができます。反復性緊張型頭痛は痛みが軽めですぐに治る頭痛です。マッサージやお風呂、ストレッチ、運動、休息、睡眠などで楽になるケースも少なくありません。
一方、慢性緊張型頭痛は反復性緊張型頭痛が続いて頭痛が頻繁に起こった結果、痛みの度合いも頻度も増えてしまった頭痛です。
慢性緊張型頭痛の痛みは中程度であることが多いのですが、動くと痛みが増したりズキズキと痛くなったり、光や音に敏感になったりすることもあります。これらの症状は片頭痛とよく似ています。生活に影響を及ぼしてうつ病などを合併する恐れもあります。
緊張型頭痛は肩こりや首こり、目の疲れなどのように「誰にでもあること」と思い、放っておいてしまうと症状がより悪くなります。頭痛が増えたり強くなったりした場合は早めに医師へ相談しましょう。
緊張型頭痛の診断
まず、問診で症状についてお聞きします。症状が脳腫瘍や脳卒中から来ているものであるかどうかを調べるために、X線検査やCTやMRIの検査を行います。緊張型頭痛だと分かりましたら痛みの度合いや体の状態、更には生活習慣などを考慮しながら最適な治療を提供します。
緊張型頭痛の治療
緊張型頭痛の治療には、薬物療法や漢方薬の処方、物理療法などがあります。
薬物療法
痛みを和らげるには、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効とされています。筋肉をリラックスさせる筋弛緩薬、更にや不安やストレスを減らす三環系抗うつ剤や抗不安薬が効くこともあります。
しかし、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は場合によって頭痛を誘発させるリスクを伴いますし、筋弛緩剤は心臓に影響を与えることもあるので処方には注意が必要です。お薬は症状の変化を見ながら、慎重に服用しないといけません。根治を目指すためには、筋肉の血流を良くしたり、生活習慣や環境を改善したりすることも大切です。
漢方薬
当院では保険診療で漢方を処方することも可能です。漢方は症状や体質に合わせて処方されます。漢方薬には様々な効能があるので、頭痛の原因にも働きかけることもあります。漢方薬と西洋薬を組み合わせることで、鎮痛剤の量や回数を減らせることもあります。
物理療法
物理療法は体を温める、刺激を与えるなどの治療を行うことで、深部の筋肉の緊張や圧迫をほぐしながら血流を良くする方法です。当院では、保険診療で物理療法が受けられます。物理療法の種類ですが、電気療法(温熱療法・電気刺激療法)や牽引療法などが挙げられます。
ストレッチやお風呂など
ストレッチや小休止(1時間に5分くらい)、お風呂、運動、十分な睡眠、ストレスの解消なども、緊張型頭痛の痛みを軽くするのに有効です。