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脊髄・脊椎・腰椎外来

背骨の構造とMRIの撮影について

MRI

背骨は、脊椎という骨が縦に並んでいる部位です。脊椎の間には椎間板というクッションが挟まれています。脊椎と脊椎は、椎間関節や靭帯によって繋がれていて、脊椎の真ん中には脊髄腔というトンネルがあります。
そこには脊髄という神経幹が通っていて、神経幹からは神経根が出ています。脳と脊髄を合わせると中枢神経系になります。中枢神経系からは末梢神経が分かれて、全身に広がっています。
当院では、MRIで脊髄の画が撮れます。電話で撮影の予約をお取りください。当院で撮影すると、以下のメリットがあります。

  • すぐに撮影できる→当日~3日以内に撮影できます
  • 頻繁にご来院いただかなくてもいい→撮影した日にデータをお渡しする事も可能です。
  • 読影をする時も来院不要→撮影されたデータは後日、郵送で送付します

MRI検査

よくある疾患

変形性脊椎症(頸椎症・腰椎症)

変形性脊椎症は、日々の負担によって脊椎が歪んでしまう病気です。骨棘(こつきょく)ができることで、脊髄や神経が刺激されたり圧迫されたりします。脊椎の中でも、頭の重さを支える頸椎と、上半身の重さを受け止める腰椎は、負担がかかりやすいので、変形しやすい傾向が強いです。僅かな負荷でも変形することがあり、年をとると変形するリスクはさらに高くなります。変形するところによって現れる症状は変わります。
頸椎症の場合は、首・肩・腕・手に痛みやしびれ、脱力などが、腰椎症の場合は、足にしびれや痛みがよく出ます。変形が軽い場合は、保存療法での改善に期待できますが、変形がひどくて生活に困る時は、手術を選択します。

椎間板ヘルニア(頸椎・腰椎)

椎間板は柔らかい組織で、急に力が加わったり負荷をかけ続けたりすると、中の髄核が出てきてしまうことがあります。この状態が椎間板ヘルニアです。髄核が神経に触ったり押したりすることで、あらゆる症状が起こります。
どこに起こっているのかによって、症状(痛みやしびれ、動きづらさなど)が出る場所も変わります。初期は症状が強く、少しずつ楽になるタイプと、徐々に症状が悪くなるタイプに分かれています。
軽い場合は保存療法で治ることもありますが、悪化すると筋肉の萎縮が起こったり、排尿・排便に悪影響を及ぼしたりする恐れもあります。進行を防ぐには、早いうちからの手術が重要です。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊髄が入る脊柱管が細くなり、脊髄に圧力がかかる状態です。日々の負担による背骨の歪みや、靭帯の肥厚などによって起こり、年齢と共に発症しやすくなります。主な症状は、しびれや痛み、感覚低下、筋力低下、間欠性跛行(休みながらでないと歩行できない状態)などです。
進行すると、歩くことそのものが難しくなります。
神経は傷つくと元の状態に戻りません。治療が遅くなると、手術しても症状が治らなくなる恐れがあります。

靭帯骨化症(前縦靭帯・後縦靭帯・黄色靭帯)

私たちが体幹を支えながら体を動かせるのは、背骨に沢山ある靭帯組織のおかげです。
靭帯骨化症は、靭帯が厚くなり骨化することによって、脊髄や神経に圧力がかかる病気です。手足にしびれや痛み、歩きづらさ、筋力低下、飲み込みにくさ(嚥下障害)などの症状が出ます。
発症のメカニズムは未だに解明されていません。腰椎で起こった黄色靭帯の靭帯骨化症が原因で、腰部脊柱管狭窄症を発症していることもあります。生活に悪影響を及ぼしている場合は、手術を選択します。

腰椎すべり症

腰椎すべり症は、腰椎が前後にずれて、安定しなくなる状態です。腰椎の椎弓(ついきゅう)にヒビが入っている状態は分離すべり症と言います。生まれつき発症しているケースと、後天的に起こるものがあります。腰が痛くて、コルセットでは楽にならない場合は、手術を選択することがあります。症状が軽い場合は、神経にかかる圧力を減らす減圧術を行い、ずれがひどい場合は、腰椎間を固定する固定術を行います。

脊髄空洞症

脊髄空洞症は、脊髄の中に空洞ができて、そこに脳脊髄液が溜まる状態です。脊髄が膨らみ悪化すると、脊髄の神経組織が壊されてしまうため、早期治療が極めて重要とされています。腕・手のしびれ、痛み、筋力低下、感覚障害などの初期症状がありましたら、早いうちに受診しましょう。
症状が進むと、足にも同じような症状が現れ、歩行困難になるリスクがあります。基本的な治療法は手術で、原因(脊髄の損傷・腫瘍、アーノルド・キアリ奇形など)に合わせた手術方法を選択する必要があります。

アーノルド・キアリ奇形(I型)

頭蓋・脳・脊髄の大きさが合わず、頸椎の中の小脳や脳幹の一部が落ち込んでいる病気です。周辺組織との間に隙間がないため、脳脊髄液が流れにくくなり、内部に溜まりやすくなります。先天性と後天性がありますが、なぜ発症するのかメカニズムは未だに解明されていません。
脊髄空洞症は、脊髄の中に脳脊髄液が溜まる状態で、水頭症は、脳室に脳脊髄液が溜まる状態です。感覚障害や運動麻痺などの症状が出ます。症状が進むと歩行困難を起こす恐れがあるので、早く手術を行うことが重要です。

脊髄腫瘍

脊髄髄内腫瘍や硬膜内髄外腫瘍、硬膜外腫瘍があり、腫瘍のタイプや組織の種類によって、進行度や悪性度が変わります。症状としては、痛みやしびれ、脱力、運動麻痺、知覚障害、排尿・排便障害などがあります。
良性腫瘍でも取り除く手術が必要です。しかし、腫瘍が発生した場所によっては、完全に摘出できないこともあります。悪性腫瘍の場合は、手術だけではなく、放射線治療や化学療法を併用することもあります。

末梢神経絞扼性疾患

手根管症候群や肘部管症候群、胸郭出口症候群、足根管症候群などがこの疾患に当てはまります。それぞれ、正中神経、尺骨神経、腕神経叢、脛骨足神経管神経が圧迫されることで起こります。
末梢神経が通るトンネルの中で神経が圧迫されて、しびれや痛み、筋力低下、筋委縮などの症状を起こします。筋肉が萎縮するまで進むと、手術をしても症状が治らない可能性が高くなります。症状に心当たりがありましたら、早めに受診してください。