近視と遠視とは
眼から入ってきた光は、角膜や水晶体で屈折されます。その後、網膜にピントが合わせられることで、私たちは物を見ることができるのです。近視は、眼球の形が前後方向に長くなり、網膜よりも前に焦点ができてしまう状態です。
遠視は、まったく調節しない時に網膜の後ろに焦点ができてしまう状態です。このため、遠くを見るときは少しの調節で見え、近くを見るときは強く調節しないとはっきり見えません。眼の奥行き(眼軸)が短いことで、遠視になることもあります。
どちらも眼鏡やコンタクトレンズで、焦点を網膜に合わせる矯正治療が必要です。
近視と遠視の症状・見え方について
近視の場合
近くの物ははっきり見えますが、遠くにある物はぼんやりとしか見えません。近視が軽い場合は、遠くの物は見えにくくなりますが、テレビなどの中間距離にある物を見るのには支障をきたしません。近視が進むと、焦点が合う距離も徐々に近くなります。
遠視の場合
焦点が網膜よりも奥でできるため、遠視は近くの物も遠くの物もぼやけて見えます。遠視が軽いと、近くの物を見るのに支障はきたしませんが、ピントを合わせるためには眼鏡やコンタクトレンズを装用しなくてはなりません。その場合は、ご自身で判断せず、専門の眼科医へ相談しましょう。
老視(老眼)とは
加齢により起こる目の調節力の低下を言います。水晶体は、厚みを変化させることによりピント調節を行い、近いものを見るときは厚く、遠いものを見るときは薄くなります。老視では、加齢により水晶体の弾力性が失われていき、水晶体を厚くすることが難しくなり、文字を読むなどの手元においての日常動作に支障を感じるようになります。
近視・遠視がある時に老視になるとどうなるのか?
屈折異常がない(正視の)場合
近くのものを見るときに水晶体が厚くならず網膜に焦点が結ばれないので近くの物がぼんやりとしか見えません。
近視の場合
近視の場合は、もともと網膜より前にピントが合っていて近くが見やすい状態のため、水晶体が厚くならなくても近くは見やすいままとなります。よって、近視の人は眼鏡をはずせば、ピント合わせをしなくてもそのまま近くを見ることができます。
遠視の場合
遠視の場合は、もともと網膜より後ろでピントが合っている状態で、水晶体が厚くならないと近くを見る際の焦点が全く合わなくなります。その結果、近くの物がしっかりと見えなくなります。
近視と遠視を矯正するには
近視の場合
近視を矯正するには凹レンズが必要です。凹レンズは、焦点を後ろにずらして、網膜の手前でできているピントを網膜上に合わせるために使います。それにより、遠くの物がくっきりと見えるようにします。必ず眼科で、正しい検査を受けてから処方してもらってください。
遠視の場合
遠視を矯正するには凸レンズが必要です。凸レンズは、屈折力を強くして網膜の奥でできていた焦点を網膜に合わせるために使います。それにより、遠くの物がくっきりと見えるようにします。
乱視とは
乱視とは、目の焦点が1か所に定まらない状態を言います。
文字が滲んで読みづらくなったり、ものが二重になったり、ぼやけたりして見えることもあります。また暗い場所で、物が見えづらくなったり、ヘッドライトや夜景が二重に見えるようになったりします。
乱視はどうして起こるのか
乱視は、角膜や水晶体が歪み、目に入る光の焦点が1つではなく複数に分散すると起こります。
乱視は2種類あります
乱視は2種類あり、正乱視と不正乱視に分けられます。
正乱視は、角膜や水晶体が縦・横・斜めのいずれかの方向に楕円状に傾き、焦点を合わせるのが困難な状態です。一方向の線だけがはっきりと見えて、他方向の線はぼやけて見えるのが特徴です。主な原因としては、角膜の歪みがあげられます。歪みの方向によって、直乱視・倒乱視・斜乱視の3タイプに分類されます。
不正乱視は、角膜の表面に歪みや凸凹が生じ、焦点が合わなくなる状態です。片目を閉じた際にもう片方の目で見るものが何重にも見えることが多く、こうした歪みや凸凹は、外部から衝撃を受けた際の目のケガや炎症、疾患が原因で起こります。
乱視を矯正するには
乱視の矯正方法は、種類によって変わります。正乱視は、ハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズ、眼鏡で矯正できます。一方、不正乱視の場合は、ハードコンタクトレンズでないと矯正できません。
眼鏡で正乱視を矯正する場合
乱視を矯正するには、眼鏡に乱視用のレンズである「円柱レンズ」を入れる必要があります。円柱レンには、乱視の度数を細かく矯正できるという強みがあります。特に、結膜炎や角膜の病気によってコンタクトレンズが使えない場合でも、眼鏡でしたら問題なく矯正できます。
コンタクトレンズで正乱視を矯正する場合
乱視の向きに考慮して、円柱レンズを使いながら矯正します。円柱レンズは、特定の方向だけを屈折することが可能なレンズです。